受賞履歴

2024.07.27

斎藤公明嘱託が「日本保健物理学会 2023年度 論文賞」を受賞しました。

システム計算科学センターの斎藤公明嘱託は、日本保健物理学会2023年度学会賞「論文賞」を受賞し、令和6年6月27日に行われた学会賞授賞式において表彰されました。当該賞は、学会誌である保健物理及びJournal of Radiation Protection and Researchに掲載された論文の中から特に学術的価値が高い論文を編集委員会が候補として選択し、選考委員会により最終受賞者が決定するものです。対象となった論文は”Temporal Change in Radiological Environments on Land after the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant Accident”です。

福島第一原子力発電所事故後、多くの人々の協力により福島地域における大規模な環境測定が継続して実施され、膨大な環境データが蓄積されました。本論文は、著者らが実施した環境モニタリング結果を中心に他で行われた環境測定の結果も参照し、事故後の福島地域の陸域における放射線環境の特徴について総括した総説論文です。論文では、まず、福島地域の初期汚染状況について集約し、次に放射線レベルの経時変化傾向の土地利用依存性や人間活動依存性、それらの特徴の基となる環境中における放射性セシウムの動態、空間線量率の変化傾向の統計解析に基づく予測モデルの開発についてまとめています。また、異なる環境測定データからベイズ統計手法を用いて統合マップを作成する手法等の紹介や外部被ばく線量の測定・評価に関する異なるレベルでの活動ならびに基礎データの紹介と、さらに集約された膨大な情報やデータの様々な形での保存と公表、集められた環境試料の保存と活用の必要性について述べています。

以上、該当論文は、福島地域における放射線環境に関わる情報を総合的に集約した論文であり、福島事故後に環境測定に携わった全ての方々の尽力により完成した論文と考えられ、広範な読者に対して、今後も長期に渡り有用な情報を提供していくことが期待されます。



受賞日 : 令和6年7月27日

表彰機関: 日本保健物理学会

表彰名 : 日本保健物理学会 2023年度 論文賞

表彰件名: Temporal Change in Radiological Environments on Land after the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant Accident

受賞者 : 斎藤公明、三上智、木名瀬栄、佐藤哲郎、眞田幸尚

参考URL:https://www.jrpr.org/journal/view.php?doi=10.14407/jrpr.2019.44.4.128

*受賞者は日本保健物理学会員に限られるため、上記の6名が受賞の対象となっていますが、論文の著者は以下に示す15名です。

K. Saito, S. Mikami, M. Andoh, N. Matsuda, S. Kinase, S. Tsuda, S. Sato, A. Seki, Y. Sanada, H. Wainwright-Murakami, K. Yoshimura, H. Takemiya, J. Takahashi, H. Kato, Y. Onda

  • 賞状