会議情報

2010.10.25

原子力分野におけるスーパーコンピューティングとモンテカルロ・シミュレーションの合同国際会議(SNA+MC2010)を開催しました。

開催日:

平成22年10月17日(日)~10月21日(木)

場 所:

学術総合センター(東京都千代田区一ツ橋2丁目2番2号)

主 催:

独立行政法人 日本原子力研究開発機構

共 催:

OECD/NEA,日本原子力学会,日本原子力学会計算科学技術部会

後 援:

文部科学省,American Nuclear Society,European Nuclear Society,European Society for Therapeutic Radiology and Oncology, Korean Nuclear Society,RSICC/ORNL,日本物理学会,日本機械学会,情報処理学会,日本計算工学会,電気学会,可視化情報学会,日本シミュレーション学会,日本医学物理学会,日本放射線影響学会,日本保健物理学会,日本放射線腫瘍学会,応用物理学会,プラズマ・核融合学会

協 賛:

富士通株式会社,株式会社日立東日本ソリューションズ,MHI 原子力エンジニアリング株式会社,日本SGI 株式会社,財団法人高度情報科学技術研究機構,サイバネットシステム株式会社,株式会社フィックスターズ,伊藤忠テクノソリューションズ株式会社,日本電気株式会社,原子燃料工業株式会社,株式会社テプコシステムズ,株式会社トータル・サポート・システム

参加者:

377名(参加国数27カ国) → 内訳はこちらをクリック

発表数:

343件(基調講演1件,招待講演8件,口頭発表259件,ポスター発表75件) → プログラムはこちらをクリック

表 彰:

若手研究者育成の観点から,学生を対象に最優秀論文(スチューデントアワード)4件を表彰 → 詳細はこちらをクリック

その他:

チュートリアル2件(10月17日にFLUKA,10月21日にPHITSのチュートリアルを開催)、テクニカルツアー2件(10月22日にHIMACツアー及びJ-PARCツアーを開催)

【成果】

本会議は、大きく分けて原子力分野におけるスーパーコンピューティングのセッションとモンテカルロ・シミュレーションのセッションに分かれ、最大で7つのセッションが同時進行で開催された。27カ国から377名(国内221名,国外156名)の参加があり、原子力・放射線分野における計算科学の重要性が国際的に高まっていることが確認できた。

原子力分野におけるスーパーコンピューティングについては、炉物理,熱流動計算,核燃料,原子炉構造材料等についての最新の研究成果が発表され、有意義な情報交換・議論が行われた。近年の超並列計算機の発達を反映し、従来にも増して時間や空間を高精細化した計算が可能となり、実現象を詳細に再現する計算結果が数多く紹介された他、原子力という複雑・複合系を取り扱うことから、マルチスケール・マルチフィジックスシミュレーション手法の開発が一つの大きな潮流となっていた。

モンテカルロ・シミュレーションについては、モンテカルロ計算手法、コード開発、モンテカルロ法によるアプリケーションにおける最新の研究成果が発表された。モンテカルロ計算手法では、固有値計算の収束,バイアス,Undersamplingの問題に焦点が当てられ、統計誤差に関しても精度良く評価できるようになりつつある。また、遮蔽分野で重要な分散低減法では、決定論/モンテカルロハイブリッド手法が有望視されている。コード開発では、物理モデルの改良,検証が精力的に続けられ、計算精度が向上している。モンテカルロ法によるアプリケーションでは、原子炉・遮蔽解析のモデル化技術の進歩や中性子輸送と材料損傷を結合した解析など応用分野の拡がりが目立った。とくに医療分野でのモデル化技術、医療照射シミュレーションが進化しており、ナノ・ドジメトリとそれに関連した研究は、新たな研究分野を開拓していくことが期待される。

また、SNAとMCの共同開催は今回が初の試みであったが、計算機科学から原子炉・燃料の解析、放射線の生体への影響等に至る幅広い分野の研究者が一堂に会し、共通の課題について議論できることなどが評価され、次回(2013年;於欧州)もSNA+MCとして開催することとなった。

【概略】
 

10月17日(日)

1CERNで開発されたモンテカルロ・シミュレーションパッケージソフトウェアであるFLUKAのチュートリアルが行われた。会場で利用登録した参加者にはFLUKAが配布され、実践的なチュートリアルであった。

10月18日(月)

JAEA鈴木理事長による開会挨拶、文部科学省研究開発局篠崎原子力課長による祝辞等の後、原子力委員会近藤委員長による基調講演「Nuclear Research and Development Strategy in Japan」が行われた。さらに、3件の招待講演が行われ、日・米・欧のスーパーコンピュータ活用の動向について議論された他、64件の口頭発表、21件のポスター発表が行われた。

10月19日(火)

原子力分野における先進的スーパーコンピューティングに関する3件の招待講演に続き、65件の口頭発表、29件のポスター発表が行われた。

10月20日(水)

モンテカルロ・シミュレーションに関する2件の招待講演に続き、93件の口頭発表、25件のポスター発表が行われた。

10月21日(木)

37件の口頭発表が行われた後、スチューデントアワードの発表、会議の総括(クロージングトーク)、次回会議のホストからの挨拶が行われた。また、粒子重イオン輸送コードシステムPHITSのチュートリアルが行われた。PHITSを活用した多様な解析例がデモを交えて丁寧に説明された。会議終了後にもかかわらず国内外から70名を超える参加希望があり、PHITSへの関心の高さが伺えた。

10月22日(金)

本会議のテクニカルツアーとして、先進的研究施設である重粒子線がん治療装置HIMAC及び大強度陽子加速器施設J-PARCの見学ツアーが実施された。

【講演資料】
   

10月18日

『基調講演』

・“Nuclear Research and Development Strategy in Japan”
 Shunsuke Kondo(Chairman of the Japan Atomic Energy Commission)(PDF約1.5MB)

『招待講演』

・“Current Status on the Development of the K Computer”
 Mitsuo Yokokawa(RIKEN)(PDF約4.2MB)

・“HPC Trends in Europe:
  The PRACE Project and the CEA Program Recovering the Capacity of Designing and Realizing Large Computer Systems”
 Jean Gonnord(CEA)

・“Architecture for Data Intensive Computing”
 Eng Lim Goh(Sillicon Graphics International)


10月19日

『招待講演』

・“Particle Simulation for Fluid Dynamics with Free Surfaces”
 Seiichi Koshizuka(The University of Tokyo)(PDF約0.7MB)

・“Stochastic Methods for Simulations of Irradiated Materials”
 Vasily Bulatov(Lawrence Livermore National Laboratory)

・“Scientific Grand Challenges in Fusion Energy Sciences and the Role of Computing at the Extreme Scale”
 William Tang(Princeton University)(PDF約22.6MB)


10月20日

『招待講演』

・“Recent Advances and Future Prospects for Monte Carlo”
 Forrest B. Brown(Los Alamos National Laboratory)(PDF約9.1MB)

・“3D/4D Human Modeling and Monte Carlo Dose Calculation for Radiation Protection, Imaging and Radiotherapy”
 George X. Xu(Rensselaer Polytechnic Institute)(PDF約4.5MB)

【会場の様子】

会議の様子(スナップショット)はこちらをクリック(PDF約520KB)